グレイブス/8つの意識レベル

2020.12.28

 

ニューヨーク、ユニオン・カレッジの心理学科元名誉教授、クレア・W・グレイブス氏の統計的な実証に基づいた理論で、人間の発達段階を8つのレベルにまとめられたのが、スパイラル・ダイナミクス理論です。
グレイブス教授は、この研究の最中、病のために活動が困難になり、それまでの膨大な統計的資料を基に研究を引き継いだドン・ベック氏、クリス・コーワン氏らによって、スパイラル・ダイナミクス理論がまとめられました。この理論は今話題の「ティール組織」の元になっています。

 

人間の意識には8つの段階があった

このスパイラル・ダイナミクスは、人間と文化の発達に関しての理論なのですが、これが非常によく研究されていて、私たちの世界を見ていく上で、また、人類、人々の進化、進歩を見ていく上で、世界の現状やこれから起こりえること、また、個人についても、今置かれている状況や考え方のパターン、傾向、そして、今後開かれていく方向や自分自身でより良く生きるためにどんな選択をしていくべきかを見いだすことができます。

このスパイラル・ダイナミクスによる8つの発達段階、成長モデルは、8つの意識レベルとも言われますが、このモデルを最初に考えたクレア・W・グレイブス教授は、もともと学生時代にアブラハム・マズローに学んでいたと言うことで、初めてこのモデルに接したときに、マズロー人間性心理学における、マズローの5段階欲求によく似てるなと思ったのです。なるほど、そのルーツはやはりマズローにあったわけです。そこからさらに研究され、個人の欲求レベルから社会学的な側面で、人間が社会の中でどのような意識グループにいるのか、どう言う価値感で生きているのか、どのような意識のレベルの存在状態なのかを8つの段階レベルに分類しているのです。
このモデルもやはり見方によって誤解、誤用すると、人を格付けするように思われてしまうかもしれないので注意が必要です。

高い意識レベルがいいと言うわけではなく、それぞれの意識段階で、自分に合った意識段階のコミュニティに属したり、人間関係を持つ方が快適であるということは言えます。
それぞれに大切にしている価値感があり、そうした価値感を互いに尊重しながら、バランスのいい世界が築けたらいいのかなと思います。
最近では、話題のティール組織のアイデアの元になっているこのグレイブス教授によるスパイラル・ダイナミクスで、ティール組織の場合、まさにこれを組織に拡大して応用しており、それぞれをカラーで分ける辺りは、同様のコンセプトであることが分かります。

8つの意識レベルは、以下の表のように分かれ、発達段階があるのですが、私たちはこの表に示されるような意識段階の中にいて、例えば、あなたは、この表の意識段階のどの段階にいると感じますか?
この表で上に行くほど優れているとか、劣っているとかということではありません。これは人間の格付けではないのです。

原子があって、分子があって、細胞があって、人間となります。そして、コミュニティへと拡がります。細胞がなければ人間はいないし、分子がなければ、細胞はできません。このように、意識レベルもそれぞれの意識レベルが必要で、意識レベルはただ拡張していくだけです。みんなそれぞれに役割を持っているのです。人は、自分が最も重心を置く意識レベルで活動するとき、もっともその人の価値を発揮し、才能を発揮します。

重心の位置は主にその位置に重心を起きますが、エネルギーの状態によって、他のレベルの意識状態を経験します。例えば、グリーンな意識を持っていても、怒りのレベルになればレッドになったりするわけです。あなたの意識を高めることができれば、愛や許し、平和へと自分のエネルギーを持って行くことができます。

8つの意識の発達段階を見る

私たち人類の意識の発展段階とそれぞれの意識レベルが生まれた時間、歴史的なタイミングがあるようです。新たな意識レベルが生まれるまで、私たち人間には、こうした意識は存在していなかったので、経験することができませんでした。

ベージュ/サバイバル段階があります。約10万年前に現れた意識レベル

基本的な生存段階、本能的、原始的な意識段階があります。マズローの5段階欲求のピラミッドの基底部にあたる生理的欲求のような部分です。「生き延びるために生きる」という意識状態で、原始的な社会で、危険な生き物、状況から逃れ、自分自身や家族、仲間と食料を求めながら生きている状態です。常に怖れがあり、身を守ることが意識の中心です。この意識レベルは、地に接しているというところからベージュで表されます。

パープル/呪術・アニミズム、部族的、神秘的な意識の段階。約5万年前に出現した意識レベル

家族、親族の集団で生活し、食料や生存しやすい場所を求めて他の親族集団と争いがあったわけですが、この頃からそうした親族集団が緩やかに集まりながら、400~500人単位の部族集団へと集まり始めました。こうした部族集団になることよって、脅威となる親族集団に対抗できたわけです。ベージュの生き延びるために生きる段階から、結束して生きる知恵を獲得した意識レベルと言えるでしょう。この頃から原始的な社会システムが始まり、集団、部族の一員であるというアイデンティティが芽生え、集団的結束を強固にし、個から集団へと意識が拡がったと考えられています。それらは脳内の化学物質オキシトシンの量など、集団で食事をしたときに増えるものや様々な脳内物質によって、内なる声や霊的な声を意識するようになって、呪術やアニミズムなど、大いなるものの存在を意識するようになり、自然崇拝が始まったのではないかと考えられています。

レッド/自己中心的な意識レベル。約1万年前に出現

手段を選ばず、自分のなりたいものになって、したいことをする意識レベル。他者を威嚇し、欲しいものは略奪する。自己の欲望を満たすためには何でもやるという意識。最近では、イスラム過激派テロリスト集団のISなどもこのような姿に見えました。本来のイスラム教徒は関係なく、自分たちのエゴを満たすだけの単なる略奪集団と化していました。後悔と罪の意識はなく、自分の快楽を追求する。

これらの意識は、パープルの集団生活によって、生活様式を安定させ、生活に危険なものを克服することができて、生きていく環境は格段に快適になり、そうした環境が守られているという言うよりは、「包囲されている、制限を受けている」と言うような意識が芽生え、そうした中から強力な自己主張を始め、他者を支配する権力を志向する者が現れました。

集団の秩序に刃向かい、集団の合意に異議を唱える。暴力的な行為に及ぶ。自分の満足のためなら、他者のことはおかまいなしという意識レベルが生まれたわけです。
しかし、この意識レベルからは、怒りや反逆などの強いエネルギーがある一方で、伝統に縛られない創造性を発揮したり、危機に立ち向かう英雄的な行為や古い体制を打ち壊し革命を起こすなどのエネルギーでもあるので、意識レベルとしては、諸刃の剣。エネルギーの使い方です。
映画スターウォーズでも、フォースをダークサイドで使うなら、悪に落ちますが、善のエネルギーとして使うことで、宇宙を平和へと導けるのです。

ブルー/目的があること、権威主義、規則やルールを重んじる意識レベル。約5000年前に出現

この意識では、超越的な目的の探求や秩序と意味の重要性についての認識が生まれます。要するに、レッドの強力なエゴ的力を抑える、その脅威に対抗するために、人々は意識的に成長してルールや規範を作っていくわけですが、それは超越的な力が必要で、その名の下に規範やルールを作られていくのですが、それが一神教的な「神」と言うことになります。ここで、罪を感じる能力が芽生えます。

これによって、秩序が生まれ、生活はより健全なものになっていきます。制度化されたシステムの中で、公正さ、規律、義務、秩序、忍耐、安定といったものが、広く行き渡ります。

オレンジ/戦略、勝つため、自分の利益のために行動する意識。1700年頃に出現

変化と前進は物事の枠組みに備わっていて、自然の仕組みを学び、最適な解決法を考えることによって進歩していくことができる。大量生産が可能になり、暮らしを効率化させる物資が行き渡るようになり、大衆社会、資本主義、消費社会が芽生え、個人主義化が拡がる中で、聖職者たちは疫病から人々を守ることができず権威を失墜し、神の世界から科学的な方法が生まれました。数学的な知性や韻律の感性、線的知性の出現によって、音楽を書くということが可能になり、数値化、測量かが可能になりました。合理性、効率が求められるようになりました。

グリーン/平等、内的自己の平安、コミュニティへの配慮への意識レベル。1900年頃に出現

人間の精神は、貪欲さや独断的な偏見、分裂から自由になる必要があり、感覚や感性、気づかいを大切にする。地球的な意識の芽生え、資源、機会を平等に分け与える平等主義。オレンジでは内面的なものはほとんど考えられず、科学は心や魂という感覚を忘れさせてしまうように発展し、物質的な側面ばかりに意識が向けられるようになりましたが、グリーンでは、基本的な人間性を取り戻し、個人の目的達成から共同体を中心とした目標、目的達成へと意識が拡がります。これは、分かち合いや「愛」と言った視点で、自分だけという利己的な意識から他の生き物、環境へも配慮した意識のレベルになります。

ここまでが「生存」への価値ということになりますが、次の2つの層は「存在」そのものへの価値です。言わば、Doing=行うこと、何かすることに価値があるという意識からBeing=在り方に意識がシフトしていきます。

 

イエロー/統合性、自分らしくありながら学びつつ、責任を持って100%生きるという意識レベル1950年頃に出現

生きると言うことは、物質的な部分だけではなく、あらゆるものが存在すること自体が深く、多様な側面を持っているということを理解する。存在することそのものが素晴らしく、物質的な所有への意識は薄まる。自己と他という相違、関係性が、相互が互いに関係し合っているという意識の中で統合されていく。混沌や変化というものも自然なものとして受け入れられる。

ターコイズ/全体性、ホリスティック。マインドとスピリットを通して、存在の全体性を経験する意識レベル。1980年頃に出現

世界は私たちの集合的知性と共に動的な組織体である。自己は、独立した「個」であると同時に、慈愛に満ちた大きな全体の一部である。すべてのものが生態的に繋がっていて、エネルギーと知性が、地球全体に行き渡っている。これはいわゆる、地球意識の芽生えであり、地球も意識があり、私たちは地球意識と繋がっていて、その一部であるというホリスティックな意識レベル。

ここまでが、クレア・グレイブス博士の研究を元に、ドン・ベック氏、クリス・コーワン氏らが研究している8つの意識レベルの要約なのですが、元々の内容は表現が思想的で、少し難しい表現となっているので、ここまでまとめるのにもすごく時間がかかりました。。。その割に、やっぱり理解しにくい部分があるかもしれません。また、私の理解で要約した部分が多いので、理解が及んでいない部分もあるかと思います。もっと詳しく理解されたい方は、インテグラル理論やスパイラルダイナミクスについていろいろと調べてみてください。

 

意識の変革、シフトは今も起こっている

最初の意識的飛躍が起こったのが10万年前で、食料や水、生存に不自由ない温度、安全が優先され、積極的に生きるということが意識された段階から、5万年前に親族だけでなく、他の集団と共に暮らすようになり、部族社会が形成される。そして、1万年前に自分の欲望を満たすために、手段を選ばずに奪い、支配していくという意識が生まれます。
こうした意識を抑えるために、5000年前に規律やルールが生まれ、人はそれに従うという意識が生まれ、そのために一神教的な神という概念が生まれます。そして、300年ほど前に前進、向上、進歩という意識が生まれ、規律的な世界から個人の自由という概念が生まれてきました。そして、150年ほど前に人間性を取り戻し、格差や不平等な社会に対して平等であることへの意識が開かれ、社会意識が芽生えます。。。

それぞれの意識レベルが出現したというのは、私たち人類の歴史の中で、例えば、ローマ時代のように力を持った皇帝が支配した時代、暴君に対抗する勢力が現れたり、中世の教会が力を持った時代、紙や活版印刷が発明され、知識や情報が大量に印刷され、文字が読めるようになったことで知識が増え、人々に意識変革が起こり、教会への信頼が揺らいだり、大航海時代に西欧に知られていなかった世界が開拓されたことで、世界への認識が大きく拡張されました。

狩猟社会が長く続き、農耕社会になり中世から近代に入り工業社会になって、1980年代から情報社会へ、2000年からインターネット革命の時代に、そしてAI、ロボット革命の時代。。。こうした世界を変えるような出来事と共に、私たちの意識も大きく飛躍、進化します。
よくライアル・ワトソンの100匹目のサル現象として比喩が用いられますが、あらたな価値感や概念を持った意識がある一定数に達すると、それまでそうした意識を持っていなかった人々まで、同じような意識を持つようになることを100匹目のサルと言われます。こうして、人類のある一定数がある意識レベルに達すると、人々に意識革命が起こり、新しい価値感や意識へとシフトするわけです。

今日のように、高速インターネットで瞬時に何でも情報が手に入る時代。私たちに、新しい情報や価値感は一瞬にして世界に伝わります。また、オンラインセミナーやライブなど、世界中の人と同時に参加し、瞬時に一体感を持って繋がることができるリアリティは、私たちのマインドセットを大きく変えています。

特に2020年の今年、新型コロナが世界に蔓延したことは、間違いなく私たちの意識を大きく変え、意識的な飛躍を起こしていると考えられます。例えば、リモートワークやあらゆるもののオンライン化、そして、EV=電気自動車が当たり前になりつつあり、エンジンという複雑な内燃機関からモーター、電気駆動というとてもシンプルな駆動の仕組みは、複雑なものがシンプルになるという大きな象徴でもあります。

オンラインミーティングは特にビジネスの上では日常的なものになっていますが、直接、物理的に合わなくても、意識を共有することができ、物理的に会うという意味について考えさせられます。このオンライン上の活動によって、私たちは意識的な存在であることあらためて認識させられます。このことが、グリーンからイエローへの意識的シフトを象徴しているものであり、ターコイズというホリスティックで、統合的な意識へのシフトを加速させるものなのでしょう。
この意識の芽生えは、すべての人がこの意識へとシフトすると言うよりも、こうした意識状態を理解できるようになるということで、基本的に、あなたは、どの意識段階を中心に生きているか?どこに重心があるかと言うことを見ていく必要があります。

世界を見ると多くの人が制度や規律に縛られていることを見れば、ブルーの領域にいるし、未だ物質的経済中心の世界はオレンジの意識が中心です。サステナブルな意識が拡がる中ではグリーンな意識ですが、エコ、サステナビリティを掲げながら暴力的で過激な活動を行う団体や個人は、レッドに重心があり、グリーンの仮面をかぶっているだけかもしれません。

 

意識の進化のピッチはだんだん短くなってきている

グリーンやイエローという段階がレベルが高い、優れているということではありません。意識レベルの優劣はなく、ただ、あなたが、その人がどういう意識レベルを中心に生きているか存在しているかと言うことであって、その人生で何を体験するかということだけです。

基本的にはオレンジの意識レベルでも、何かのトラブルで怒りの感情が増せば、レッドになるかもしれません。人はベージュ、レッド、パープルと意識を拡張していき、これらの要素を内包していきます。つまり、ベージュというあんこをレッドで包んだおまんじゅう。またそれを、パープルで包んでいくと言ったように、新たな意識レベルになったらそれらを内包していくので、例えば、オレンジを通り越してグリーンになることはありません。ルールや規律を重んじる人が、いきなり平等とかコミュニティへの配慮と言った意識にはならいわけです。

ある意味で人間の脳の構造に似ています。人間の脳は、中心部に爬虫類脳が残っていてその周りに哺乳類脳があり、その周りに人間の脳があります。
爬虫類脳は脳幹で生きるための脳です。哺乳類脳は大脳辺縁系で感情を感じます。人間脳は大脳新皮質で、理性を司ります。このように、生命が人間へと進化していく過程で、脳が進化してきたことがわかりますが、意識も同様で、原始的な意識から近代、現代へと意識が進化しています。

意識について深く考えたことはありますか?これからの時代は、意識について、まさに意識することなく世界を見ること、体験することはできないでしょう。なぜなら、人々は物質的な価値より、精神的な価値へとますます比重を移していくからです。
意識のレベル、発達段階は、これからの経営を考えていく上でも、非常に重要なアイデアです。ぜひ、深めていただけたらと思います。これからの世界が見えてきます。

他にも、いろいろな角度で経営やマーケティング、ブランディング、Webサイト制作について、お伝えしていますので、他の記事もぜひ、お読みください。ありがとうございました!

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Inspirater 和田達哉
株式会社マイルストーンデザイン 代表