縦軸と面 経営と経営者→成功と成功者のこと

2020.08.20

これまでたくさんの経営者方々と接してきて、また、歴史を振り返りながら大きな事業を起こした経営者のことをひもといたり、現在も世界的な規模で事業を展開する事業家を見るに、感じてきたこと、考えることがあります。

個人事業主さんや小さな会社の経営者、中小企業経営者・・・一言で経営者と言っても、本当に様々で、さらに、その成功の姿も様々です。端から見れば、もうすごく成功しているように見える経営者でも、ご本人は、まだまだ成功の入り口にも至っていないと考えている経営者もいます。

果たして、成功とは何か。。。

成功や経営の定義はともかく、成功にはいくつか考え方がある。

 

1.明確な目標、ゴールをもって、それを達成した人
2.周りから見て、経済的にも社会的にも成功しているように見える人
3.大きな事業を展開している人
4.規模も経済的にもさほどではないけれど、人物として深く、精神的な境地にある人

 

多くの人の場合、大きな事業をしている人お金持ちに見える人を成功している人のように思うでしょう。
実際に、それは成功していると見えるでしょうし、言えるのかもしれません。

大きな事業をしている経営者は、同時に、大きな負債も抱えている場合が多いです。負債と言うとネガティブなイメージがありますが、借り入れというと事業発展のための資金と言うことになるでしょうか?
負債とは、お金だけじゃありません。精神面や人間関係も負債になっているかもしれません。
事業をどんどん成長させていくために、銀行から筒いっぱい借り入れがあるかもしれません。出資者、投資家から出資金もあるでしょう。出資は返さなくてもいいですが、企業を成長させて、利益を還元する必要があるということで、その責任を負います。銀行からの借り入れは借金なので、必ず返済しないといけません。とは言え、銀行もお金を貸すと言うことは、信用もしているわけで、それだけの業績を見込んでいる意味で、お互い様と言えます。

いずれにしても、大きな事業をしているということは、単に大きく稼いで、儲けているという単純なことではなく、例えば、社会経済が不況に陥ったり、市場が変化すると会社が大きい分だけ、大きな影響を受けることもたぶんにあります。そういう意味で、長期的な視野で物事を見て、会社の舵を切らないと、タイタニックのように氷山にぶつかってしまうということになります。

大きな事業経営が、経営者にとっての人生の成功か?というと、そうとも限りません。大きいことがすごいことと言うばかりではないからです。大きな事業をする人は、やはりパワーも、エネルギーも高いですし、人々に、社会に大きな影響を与えます。でも、もしかすると、これも個性のひとつなのかもしれません。

つまり、会社の規模が大きいから成功しているということではなく、その人が人物としても成功しているかどうかが、トータルな意味で、本質的な成功と言えるのでしょう。

そういう意味では、1、2の自分なりのゴールを持って、それを達成した人、成しえた人は成功者といえるでしょうし、経済的には十分だけれど、それ以上に人物としての徳があり、深く達観しているような人は、経営者として、人としても成功していると言えるでしょう。

いずれにしても成功とは人それぞれ、人生も、経営も、いろんな見方がありますが、やはり、人間性、良識、深さ、厚み、大きさなど、こうした人として、人物としての達観度、成熟度が伴ってこそ、初めて本当の成功者と言えるのでしょう。

そこで、こんな図で、経営者の成功と人物を考えてみました。

丸い円の大きさは、事業規模と考えてください。この視点は、物質的、経済的な視点です。物質的な豊かさ、充足、知名度、名声、承認欲求などの視点はこの視点です。上から自分の成功度を見る人もいれば、自分もいつか成り上がってやる!とか、リッチになるぜ!ドバイに住んだるじゃぁ〜!純白のメルセデスにドンペリニヨン的な人は下からこの円を見ているかもしれません。

さて、もう一つの視点があります。
これは棒ですが、つまり縦軸。縦軸の長さ、大きさが人物の人としての成熟度です。
縦軸の長い人は、人間的に成長を遂げた人です。

こうしてみると、物質的な円は小さいのに、縦軸が大きい人、物質的な円は大きいのに、縦軸の短い人がいます。円も大きければ、縦軸も大きな人もいます。
この軸も、上にばっかり伸びてもいけない。いわば、地面にしっかりと深く軸を沈めておかないと、軸は傾いてしまいます。そして、軸が太くならないと、これまた軸を支えられません。

要するに、人は、この両面を見る必要があるんですね。
つまり、斜めに見る。立体的に見ると言うことです。さらに、もう少し難しく見れば、ここにもうひとつの軸。。。時間軸を加えると、人としての成長のプロセスも見ることができます。

円の大きさと比例して、人間軸も大きくなる人もいれば、物質的な拡大と人間的成長は無縁であっても、ある出来事を境に、急激な人間的成長、成熟へと向かう人もいます。
また、人間的な成長の末に、物質的にも豊さを得る人もいます。
物質的な成功ばかりに目を奪われ、縦軸が成長しなければ、いつかこの円は崩壊します。。。
広がる円を補強するのは、吊り橋のロープ(ケーブル)と同じです。
そして、この軸も太く、強く、揺るぎないものに成長していく必要があります。。。

過去のIT関連のプラットフォームなどのイノベーション市場のように、
急激に成長する市場潤沢に資金が集まるビジネス、企業、
また、バブル期のように余剰の資金が市場に潤沢にある場合など、事業基盤の厚みが増すので
経営者の人間的資質、人望が薄くても、経済的なベクトルパワーが強いので、
いわゆる、人としての成長による吊り橋効果→ロープのテンションなしでも
企業、経営は成り立つことも多いものです。

しかし、こうした企業やマーケットは、時の流れの中で、
経営者の人的成長、もしくは、企業の倫理観社会貢献的な利他の意識なしに
その変化に耐えうることはできないでしょう。

人の数だけ人生があり、成功の姿があります。
それは経営者だけにとどまりません。

成功とは、その人にとっての成功であって、周りがどうのこうのいうことではありませんが、
もし、自分は、まだ成功に至っていない。
成功したいという火がともっているなら、ぜひ、その火をもっと熱く燃え上がらせて、一度きりの人生を思い切り燃焼させてみてくださいね。。。悔いのない人生を。。。