状況に合わせるギアボックス《人や場に合わせる力》

2022.11.18

オウム返しで聞き返す

ミーティングなどで一方的に話を続ける人がいて、どうにもその人に話が止まらない。
そんな時に、その人の話を止める方法があります。
それは、その人の話をオウム返しすることです。

「この前、こんな事があったんです」と言うと
「この前、こんな事があったんですね。。。」と聞き返す。

「そうなんです。それで、◎◎したら、▢▢になってしまったんです」
「そうなんですね。◎◎したら、▢▢になってしまったんですね。。。」

もちろん、一方的に話す人は、こちらが話す隙間すら与えてくれない人もいますが、こうして相手が話したことをオウム返しすることで、その人は自分の話していることがフィードバックできるようになるので、一方的に話すモードから、自分の話していることを無意識に考えるようになるわけです。

もっと効果的な道具があって、産業技術総合研究所研究員の栗原一貴さんらが開発して、ユーモアあふれる科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」を受賞した、ドラえもんの道具のような装置なのですが、相手の声をマイクが拾って、その人に向かって、その人が話している言葉をほんの少しずらして、送り返すことができるものです。
距離は30メートル離れていてもいいようで、その人は自分の話している言葉がほんの少しずれて聞こえるので、ものすごく話ずらくなるという仕組みです。。。笑

※迷惑を顧みず話し続ける人を邪魔する装置「スピーチ・ジャマー」
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG21008_R20C12A9000000/

時々、携帯電話で話していると電波の問題などで、自分の話している声が少しずれて消えてきたり、人前でマイクで話すとき、少しずれて反響してきたりすると話しずらいのと同じです。

自分本位の人は、自分のことが見えていません。自分がどんな状態か、どんな風に感じられているかを省みないので、一方的になってもお構いなしです。
そんな人には、このようにその人がやっていることに気が付かせる方法は、ある意味で役立つのかもしれませんね。

 

状況に応じてギアを合わせる

ところで、多くの人は、自分のことを省みることができるわけですが、省みたところで、自分を人や状況に合わせることが苦手な人もいます。
心理学や精神的なケア、トレーニングによってある程度、人や状況に対応していけるようにもなりますが、こうした人はなぜ人や状況に合わせられないのでしょうか?

それは心に「ギアボックス」を持っていないからです。

心に「ギアボックス」??

クルマを考えてみると、現代は当たり前のようにアクセルを踏めばクルマは走るわけですが、ほとんどのクルマはオートマチックです。いわゆるATですね。
しかし、こうしたオートマチックのクルマも、この仕組みの中には、変速機が入っていて、自動的に変速が行われています。それがオートマチックの意味です。

今でも、スポーツカーなどミッションのクルマがありますが、自転車でもそうですね。変速機が付いていると、こぎ出しや坂道など負荷がかかるところは低速のギアで、スピードが乗ってきたら高速のギアに切り替えますね。

このように状況に合わせて、ギアを切り替えることで、負担無くスムーズに走れるわけです。

これがギアひとつしかないと、自転車でもそうですが、高速ギアしかないと、こぎ出しは重くて大変です。また逆に、低速ギアしかないと、走り出して思い切り漕いでも前に進みません。

コミュニケーションでも、そのようなギアの変速を意識すると、状況に合わせやすくなります。

バイブレーション(振動数)の低い場(低次元)なら低いギヤに、精妙な高い領域(高次元)なら高ギアに。。。
皆がバカをやっているような場ではバカを演じ、質の高い領域ではより精妙に。。。郷に入っては郷に従え・・・
ギアの領域の幅が広いと、多様な環境に合わせられます。真に精妙な領域は、合わせたくとも合わせられないかもしれません。。。

人生を生きているといろんな場面に出くわします。そんな状況の中で、自分を合わせられないのは生き辛く、苦しい時もあるでしょう。

どんな状況や人にも簡単に対応でき、合わせられる心のギアボックスがあれば、状況に合わせて切り替えて、何事もないように対応できるのですが。。。

 

自分を意識化すること

では、どうしたら、そんな都合のいいギアボックスを手に入れられるのか?

それが簡単だったら、誰も苦労はしないですね。。。笑

いきなりポンと身につけることは難しくとも、育てていくことはできます。
そのためにはやはり「自分を省みること」・・・

自分が今どういう状況にいて、どういう気持ちの状態なのか?
相手はどんな人で、今どんな気持ちなんだろう?

こうしたことを意識することで、自分の状態と今の状況を捉えること、理解していくことで、この状況ならこのギアだなと、自分のギアを選んで、対応していく。。。
と言うことを意識化することです。

もちろん、それができないから困っていたりするわけですが、そのように意識的に感じたり、意識を向けていくことで、あとは場数で勝負です。。。

何も意識化しなかったら、いつまでも同じ事を繰り返すだけです。

もちろん、人の意識の構造や発達心理学などを勉強してみたり、マインドフルネスやNLP(神経言語プログラミング)のようなコミュニケーションのトレーニングを行うこと、理解することもギアボックスを手に入れる近道です。

また、人生に於いて、困難な道を歩んできた人は、その人生の体験の中で素晴らしい「ギアボックス」を手に入れる。。。育っていくことでしょう。

子どもは自分勝手で、わがままを言うものです。
幾多の人生の荒波を越えて来た老人が、深いまなざしで人生を見つめられるのは、人の痛みが分かるからです。

自分を省みることができる人だけ、心のギアボックスを手に入れることができます。
そして、それがオートマチックになるように。。。

自分を省みるには、常に「いまここ」の自分を意識して、自分に立ち戻りましょう。

そうすることで、自分自身でいることができ、同時に今の状況や相手のことも理解できるようになります。

心のギアボックス・・・意識してみてくださいね。