マーケットボリューム

2019.11.14

 

お客さんの感度とイノベーター理論


あなたの会社のターゲットを考える時、つまりお客さんは、どんなお客さんなのか?それはペルソナをしっかりと考えると言うことで、お話しました。

このお客さんは、市場の中で、どういうタイプ、性質を持っているでしょうか?

いや、質問の仕方が悪いかと思います。そのお客さんは、市場にどれくらいの人数、存在しているでしょうか?

あなたのビジネス、事業がどれくらい成長するかを考える時に、そのお客さんがそのマーケットにどれくらいいるか、そのボリュームによって、今後どれくらい成長できるかどれくらいのビジネスチャンスがあるのか?を考えることもできますし、どのように経営を考え、マーケティングをしていかなくてはいけないかも見えてきます。

市場ボリュームは、市場規模としても、各省庁や各業界団体、民間の調査会社などが出しているデータがあるので、検索でググって見れば、いろいろと出てきます。

しかし、ここでお話ししているのは、そのような市場規模ではなく、お客さんの感度と言えばいいでしょうか?そこから見て行くものです。

業界、業域でのお客さんの分布を、イノベーター理論というもので、見ていくことができます。

イノベーター理論は、米スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャーズ教授が「イノベーション普及学」(1962年)という著書の中で伝えているものですが、僕は、もう少し広く解釈して、お客さんの感度がどれくらいかと言うことで見ていってもいいのかなと思っているので、その見地から、少し拡大解釈して見ていきたいと思います。

革新的な新しい商品があって、それをどんな人が買ってくれるのか?ユーザーになってくれるのか?そういう視点で消費者層を見ていくとき「イノベーター(革新者)」「アーリーアダプター(初期採用者)」「アーリーマジョリティ(前期追随者)」「レイトマジョリティ(後期追随者)」「ラガート(遅滞者)」という5つに分類します。

その業界で、もっとも感度が高く、まだ一般の人が誰も気づいていないけど、これは新しいとか、自分たちで新たなスタイルを創ったり、市場にないために、組み合わせて創ったり、そうしてまだないものや発芽したようなものライフスタイルに取り入れたり、使ったりしていく人を「イノベーター」と言います。

そんな「イノベーター」の動きをよくウォッチしていて、これはこれからのトレンドになっていくぞとキャッチして、同じように使い始める、流行に敏感な人たちが「アーリーアダプター」でオピニオンリーダーでもあります。

そんな「アーリーアダプター」たちがいいなぁ~、素敵だなぁ~カッコイイと思い、同じように取り入れていく人を「アーリーマジョリティ」です。

マジョリティって多数派の意味ですが、要するにたくさんいる人たちです。

そして、その後に「レイトマジョリティ」「後期フォロアー」という人たちがいます。

この「レイトマジョリティ」は、もうおわかりだと思いますが「アーリーマジョリティ」の動きに従う人たちで、なんか世の中こんなの使ってるから使ってみようとか、行列ができてるから並んでみようかとか、広告が出てたから買ってみようとか、自分の明確な意志ではなく、トレンドに流される人たちでもあり、周囲が使っているからと安心して行動するとも言えます。

そして「ラガード」これは、保守的で、世の中の動きには、無頓着だったり、関心がなかったり、鈍感だったり。。。浮世の事には関心がない、変わる気はない。。。そんな人たちです。

 

お客さんはどのカテゴリー?


この人たち。。。(という表現も微妙ですが・・・笑)は、市場の中でどのような分布になっているのでしょうか?

それはこちら!

 

◎イノベーター 2.5%
◎アーリーアダプター 13.5%
◎アーリーマジョリティ 34%
◎レイトマジョリティ 34%
◎ラガード 16%

 

あなたの会社や商品のお客さんは、これでみるとどういう感度、タイプのお客さんでしょうか?

もっと言えば、あなたの会社がどういうビジネス、製品、サービスを扱っているかで、お客さんがどのカテゴリーなのかがわかります。

例えば、まだ多くの人に知られていない、最先端技術を知る一部の人たちの間で話題になっていたIT機器が登場するとき、高額でも最初にその商品を手にする人たちは、イノベーターです。また、ファッションなどでも、まだほとんど誰も着ていないけれど、その独特の感性で時代をキャッチして独自の着こなしをする人たちなどもそうです。

もう少し広く解釈して、先進医療機器や研究開発のための実験機器も一部の先端の人たちのためのもので、そう考えられるし、専門性の高い分野やオタク的なマニアックな世界のコレクターアイテムなど、希少性のあるものを高くても購入する人たちも、ある種のイノベーターと言えます。

革新的な新しい商品をいち早く手にするという人たちだけでなく、希少性が高いために、付加価値の高いものを購入する人々は、イノベーターに分類してよいかと思います。

アーリーアダプターは、基本的に流行に敏感で、これからきっとこれが注目されるというような商品やサービスをいち早く取り入れる人たちですが、彼らは、それを手にしたり、利用することで、自分たちが注目されることを知っています。おしゃれ、カッコイイ、センスいい、最先端だ、っすごい!と評価されたい気持ちを持っています。

なので、新しいiPhoneが発売されるとか、ブルックリンやポートランドで流行っているとか、そういう商品、サービスをいち早く使い始めます。

こちらも少し拡大解釈すると、プロが使う商品は高額でオーバースペックですが、アマチュア向けの高機能の商品を求める人々はアーリーアダプターと同じような感度だと言えます。また、飛行機で言うと、ファーストクラスではなくビジネスクラス。ホテルだと1泊5万円前後のハイアットやヒルトンなどの高級ホテルを何かの記念に利用してInstagramやFacebookにアップする人などもある意味で、このカテゴリーに入れられるかもしれません。

高級家電と言われるダイソンの掃除機やバルミューダのトースターなんかも、感度やマーケット規模で言えばアーリーアダプターと考えていいでしょう。

アーリーマジョリティは、段々と庶民っぽくなってきますが、ここは幅が広く、アーリーアダプターに近い、アーリーマジョリティとレイトマジョリティに近いアーリーマジョリティは、同じカテゴリーに入れるには、ちょっと無理があるかもしれません。。。そのくらい幅があります。

例えば、テレビやネットで、いま人気、話題の商品やスウィーツ、レストラン、ホテルなど、今流行、トレンドと言われたら購入したり、行列に並ぶような人たちです。

収入レベルによる見方とも言えるのですが、ホテルで言うと、1泊3万円前後のホテルは、いい出費だと思いますが、ある意味で、たまにはちょっとリッチに過ごしたいという人には、いい体験だと思います。でも、レイトマジョリティに近いところでは、15,000円くらいまで価格帯が降りてきます。

ホテルでも、競合が激しく、差別化が求められる場合や立地的な厳しさをクリアするためのアイデアとして創られた話題のユニークな施設を利用するのは、アーリーマジョリティと言えます。

時代も大きく変わりつつある中で、考え方も変わります

例えば、清潔で質の高いゲストハウスを賢く使うとか、モノを持たないライフスタイルのミニマリストは、必要な時に必要なものをシェアで利用したりしますが、今の時代のアーリーアダプターなわけです。シェアエコノミーを実践する人もアーリーアダプターと言えるでしょう。

価格というものさしだけでは、このカテゴライズを見誤ります。

やはり、そういう意味で、時代の中でどういう感度を持っているのか?

これが、マーケットボリュームであり、あなたの会社のターゲットがどういう人なのかを見るのにとても大事な訳です。

なぜ、このマーケットボリュームが大事かというと、当然ですが、そこにお客さんがいるのかどうかと言うことです。

先ほどの高度な医療機器は、確かにお客さんはいますが、開発には莫大なコストがかかり、高度な技術も必要なので、開発は大変です。それでいて、必要としている人が僅かでも、そこにお金を払う人がいればビジネスは成り立ちます。まあ、この場合は、ビジネスと言うよりも先々の未来の医療のために通らざるを得ない道である場合も多いわけですが。。。

アーリーアダプターなら、もうちょっと欲しい人、必要としている人が多いので、ここをターゲットにしている会社も多いでしょう。

顧客層としては感度も高いので、高い品質や性能を求めます。その分、提供する側としても力が入りますし、評価されたやりがいや達成感も感じるでしょう。そして、誰もができるわけではないので、他とは一線を画した存在として認められることもあるでしょうし、粗利率もかなり高く得ることができる。粗利率=付加価値で勝負できる面白さもあり、数で勝負するのではなく、ある程度の人数で、比較的高単価のため顧客をつかめたら、安定的なビジネスモデルを築けます。ビジネスとしては目指したい領域です。

 

キャズム理論


ここまでは、中小企業や零細企業、スタートアップの会社も多く、いろんな可能性を秘めていると言えますが、マジョリティの世界に行くには、ちょっとパワーが必要になってきます。

それは、自ずとマーケットボリュームが大きくなっていくからです。

キャズム理論というのがあって、ここでは語りませんが、大きく成長して行くために、これまでの方法論や仕組みでは対応できず、マジョリティワールドに行けずに、下手をするとキャズム=溝ですが、溝の隙間に落っこちてしまうというお話です。

このマジョリティに行く時は、急成長していきます。この急成長には、ありとあらゆるものをその成長に対応させていかなくてはいけないので、最初からそのように準備して、ある段階になって、マジョリティの領域に入っていくときには、その段階に対応できるように準備しておかなくてはいけません。

近年のベンチャー企業、スタートアップと言われる会社は、最初からこのマジョリティを目指して会社を設計し、それを評価してもらって、投資家から資金を引き出します。キャズムを超えていくのも事業設計のうちなのです。

しかし、やっていることが、たまたま思いがけずヒットしてしまって、それに対応して行くうちに、ますます規模が拡大していく場合に、経営者の思考がついていけなかったら、そこまでになってしまいます。
実際に、そうして資金繰りや人材を強化できなかったり、それぞれの状況に対応できず、倒産したり、倒産寸前に陥った会社をいくつも見てきました。

 

 

弊社が得意としているのは、こういう会社ではなく、小さな会社の支援なので、アーリーアダプターの優良顧客を持って、アーリーマジョリティの一部の人を招き入れるというところで、粗利を確保し、付加価値で優位に商売をしていくというカテゴリーです。ブランドも築きやすいですし、自分の目の届く範囲でビジネスもできます。

ただ、スケールしていく会社は、そうも行かないので、どこを目指していくかはとても大事です。

経営者として、どんな会社にしたいのか?どういうレベルの収入や暮らしをしたいのか?

誰とどんな世界を創造することが幸せなのか?自分の周りにどんな仲間がいて、どんなお客さんがいて、どんな会社で、どんな所に暮らし、自分の時間はどんな過ごし方なのか?

何のために、誰のために生きる事がもっとも、平和で、ハッピーなのか?

そういう視点で、ビジネスを考える。。。

そのためにも、どのマーケットボリュームを狙うのか?ビジネスモデルをよく考える必要がありますね。